要約
本稿では、感情分析に向けた再帰型ニューラルネットワーク(RNN)に基づくキャプセルモデル「RNN-Capsule」を提案する。与えられた問題に対して、各感情カテゴリ(例:「ポジティブ」や「ネガティブ」)ごとに1つのキャプセルを構築する。各キャプセルは、属性、状態、および3つのモジュール(表現モジュール、確率モジュール、再構成モジュール)を持つ。キャプセルの属性は割り当てられた感情カテゴリを表す。典型的なRNNによって隠れベクトルに符号化されたインスタンスに対して、表現モジュールはアテンション機構を用いてキャプセルの表現を構築する。このキャプセル表現を基に、確率モジュールはキャプセルの状態確率を計算する。あるキャプセルの状態確率が、そのインスタンスに対して対応するすべてのキャプセルの中で最大である場合、そのキャプセルは「活性化」され、それ以外の場合は「非活性化」となる。2つのベンチマークデータセット(映画レビューおよびスタンフォード感情木構造データセット)および1つの独自データセット(病院フィードバック)を用いた実験により、RNN-Capsuleが感情分類において最先端の性能を達成することを示した。さらに、言語学的知識を一切用いずに、キャプセルの属性を反映した感情傾向を持つ単語を出力する能力を有していることが明らかになった。これらの単語は、データセットのドメイン固有性を適切に反映している。