
要約
インクリメンタルクラス学習は、新しい物体クラスのインスタンスが逐次追加される状況下で、モデルを学習する分類問題であり、古いクラスに対する再学習を最小限に抑えつつ、新規クラスのみを再学習できることが望ましい。この分野における主要な課題は、災害的忘却(catastrophic forgetting)であり、更新されたモデルが過去のクラスを忘れ、新規クラスにのみ注目してしまう現象である。本論文では、自己教師付き事前学習済み特徴抽出器を用いて意味のある特徴を取得し、各クラスごとに確率的主成分分析(Probabilistic PCA)モデルを個別に学習する、シンプルかつ新規なインクリメンタルクラス学習手法を提案する。分類結果はマハラノビス距離(Mahalanobis distance)を用いて得られ、計算コストを抑えるための等価な式を導出している。標準的および大規模データセットにおける実験により、提案手法が既存の最先端インクリメンタル学習手法を大きく上回ることが示された。各クラスごとに独立して学習が可能であるという特徴により、10,000クラスを超える大規模データセット(例:ImageNet全体)への適用も可能である。