3日前
CRISPR–Cas配列のモデル化による高機能なゲノムエディタの設計
Jeffrey A. Ruffolo, Stephen Nayfach, Joseph Gallagher, Aadyot Bhatnagar, Joel Beazer, Riffat Hussain, et al

要約
遺伝子編集は、農業、バイオテクノロジー、および人間の健康分野における根本的な課題の解決に向けた可能性を秘めている。微生物由来のCRISPRベースの遺伝子編集ツールは、強力な特性を持つものの、ヒト細胞を含む非生体環境に導入された際には、しばしば顕著な機能的トレードオフを示すことが知られている1。一方、人工知能(AI)を活用した設計手法は、進化的制約を回避し、最適な性質を有する編集ツールを創出する可能性を秘めた強力な代替手段である。本研究では、生物多様性のスケールで学習させた大規模言語モデル2を用いて、人工知能によって設計されたプログラマブルな遺伝子編集ツールにより、ヒトゲノムの高精度編集を実現した。この目標を達成するため、26テラバイトに及ぶアセンブルされたゲノムおよびメタゲノムデータから体系的なマイニングを行い、100万を超えるCRISPRオペロンのデータセットを構築した。我々のモデルが有する能力を示すために、自然界に存在するCRISPR–Casファミリーに見られるタンパク質クラスターの4.8倍に相当する数の新たなタンパク質クラスターを生成し、Cas9類似効果因子向けの単一ガイドRNA配列を最適化した。生成された複数の遺伝子編集ツールは、代表的な遺伝子編集効果因子であるSpCas9と比較して、同等または優れた活性および特異性を示した一方で、配列的にはSpCas9から400塩基対の変異を有していた。さらに、人工知能によって生成された遺伝子編集ツール「OpenCRISPR-1」が塩基編集と互換性を有することを実証した。本研究では、OpenCRISPR-1を公開することで、研究および産業応用における広範かつ倫理的な利用を促進することを目的としている。