3ヶ月前
拡散モデルを用いたナノ結晶粉末回折データからのアビニトイオ構造解法
Gabe Guo, Tristan Luca Saidi, Maxwell W. Terban, Michele Valsecchi, Simon J. L. Billinge, Hod Lipson

要約
材料科学における主要な課題の一つは、ナノメートルサイズの物体の構造を決定することである。本稿では、拡散プロセスに基づく生成モデルを使用した手法を提案する。このモデルは45,229個の既知の構造データで訓練されたものであり、測定された回折パターンと原子クラスター構造の単位格子に関する統計的な事前情報を取り入れている。化学式と情報量が少ない有限サイズの広がった粉末回折パターンのみを条件として用いた場合でも、我々のモデルPXRDnetは、10 Å程度の大きさを持つ200種類以上の異なる対称性や複雑さを持つ模擬ナノ結晶を成功裏に解くことができることが確認された。これは7つの結晶系すべてからの構造も含んでいる。さらに、我々はモデルが候補となる構造を5回中4回成功し、かつその正しさを検証できることを示している(これらの候補における平均誤差はRietveld精製後のR因子で測定され、わずか7%である)。また、PXRDnetは実験で得られたノイジーな回折パターンからも構造を解く能力を持っていることが明らかになった。我々は提言するが、理論的シミュレーションからブートストラップされるデータ駆動型アプローチが最終的には未解決のナノマテリアルの構造決定への道を開くであろう。注:「PXRDnet」は「 Powder X-ray Diffraction Network」(粉末X線回折ネットワーク)の略称です。