要約
リモート光体積脈波計測(rPPG)は、通常のカメラを用いて接触なしで血流量脈波をモニタリングする技術である。近年の研究では、動きに対するロバスト性の向上が重視されてきたが、RGB色空間における従来の盲源分離法(BSS)は限界が明確である。本研究では、動きに関する問題の分析を通じて、はるかに優れた色度ベースの手法が導き出された。117名の静止状態の被験者を対象とした実験において、本手法は接触式PPGと92%の良好な一致(±1.96σ)を達成し、RMSEおよび標準偏差ともにBSSに基づく手法よりも2倍以上優れた性能を示した。また、簡易なスペクトルピーク検出器を用いたフィットネス環境下では、軽度の運動(自転車運動)における脈拍検出正解率が79%から98%へ、激しい運動(ステッピング)では11%未満から48%以上へと大幅に向上した。本研究の成果により、技術のロバスト性が著しく向上し、応用範囲が大きく拡大することが期待される。