
要約
サーバーマシン、宇宙機、エンジンなどの産業用デバイス(すなわちエントティ)は、通常、多変量時系列データを用いてモニタリングされ、その異常検出はエントティのサービス品質管理において極めて重要である。しかしながら、多変量時系列データには複雑な時系列依存性と確率的性質が存在するため、その異常検出は依然として大きな課題である。本論文では、さまざまなデバイスに対して堅牢に機能する多変量時系列異常検出のための確率的再帰型ニューラルネットワーク「OmniAnomaly」を提案する。その核心的なアイデアは、確率変数接続(stochastic variable connection)や平面正規化フロー(planar normalizing flow)といったキーテクノロジーを用いて、多変量時系列の堅牢な表現を学習し、その正常パターンを捉えることである。さらに、学習された表現を用いて入力データを再構成し、再構成確率を用いて異常を判定する。また、検出されたエントティの異常に対して、OmniAnomalyはその構成要素となる単変量時系列の再構成確率に基づいて、異常の解釈を提供できる。評価実験は、航空宇宙分野から提供された2つの公開データセットおよびインターネット企業から収集・公開した新しいサーバーマシンデータセットを用いて実施された。OmniAnomalyは3つの実世界データセットにおいて全体的なF1スコア0.86を達成し、最良のベースライン手法を0.09上回る性能を発揮した。また、OmniAnomalyの解釈精度は最大0.89に達した。