可変画像登録(Deformable image registration)とは、異なる画像間の空間変形を推定する重要なタスクであり、医療画像分野において広く応用されている。深層学習技術は、3次元画像登録において効率的な性能を示している。しかし、現在の登録戦略はしばしば変形の滑らかさにのみ注目しており、特に臓器の交差領域において複雑な運動パターン(例えば、分離運動や滑り運動)を無視する傾向がある。その結果、複数の近接物体における不連続な運動を扱う際の性能が制限され、臨床応用において病変やその他の異常の誤検出や誤位置特定といった望ましくない予測結果を引き起こすことがある。この問題に対処するために、本研究では新たな登録手法を提案する。まず、分離運動を捉えるために、新しい「Motion Separable(運動分離可能)」バックボーンを導入し、運動の不連続性の理論的上限について解析を行った。さらに、複数の隣接する物体/臓器間での予測された運動を分離・精緻化するための新規な「Residual Aligner(残差アライナー)」モジュールを採用した。本手法、すなわち「Residual Aligner-based Network(RAN)」は、腹部コンピュータ断層撮影(CT)スキャンを用いて評価された結果、9つの臓器において最も高い精度の非教師付き被験者間登録を達成した。特に静脈部では、大静脈(Vena cava)においてDice類似係数62%/平均表面距離4.9mm、門脈および脾静脈において34%/7.9mmという最高水準の結果を示した。また、最先端手法と比較して、モデル構造が小さく、計算量も少ないという利点を有している。さらに、肺CTへの適用においても、最高水準のネットワークと同等の性能(94%/3.0mm)を達成し、パラメータ数および計算量の点で優れた効率性を発揮した。