
要約
これまでの関係抽出に関する多くの研究は、単一の文内で二つのエンティティの間にある関係を一つだけ抽出することに焦点を当ててきた。しかし、実際に単一の文内に複数のエンティティが存在し、それらが複数の関係を形成していることは容易に確認できる。この問題を解決するため、マルチヘッドアテンション機構を備えた二重ポインタネットワークを基盤とする関係抽出モデルを提案する。本モデルは、オブジェクトデコーダと呼ばれる前方デコーダを用いて、n対1の主語-目的語関係を抽出する。その後、サブジェクトデコーダと呼ばれる後方デコーダを用いて、1対nの主語-目的語関係を抽出する。ACE-05データセットおよびNYTデータセットを用いた実験の結果、本モデルは最先端の性能を達成した(ACE-05データセットではF1スコア80.5%、NYTデータセットではF1スコア78.3%)。