
要約
マルチ基準推薦システムにおいて、ユーザーはアイテムに対して全体評価を与えるとともに、そのアイテムの各属性についても個別にスコアを付与することができる。ユーザーのマルチ基準評価を有効に活用して全体評価を予測するための手法を構築することは、最も重要な課題の一つとなっている。従来のアプローチでは、多くのアーキテクチャがエンドツーエンド(端から端まで)の設計を採用していない。これらの手法はまずユーザーのマルチ基準スコアを予測し、その後別途のモデルを用いてユーザーの全体評価を予測する。この方式は追加の学習オーバーヘッドを生じる上、全体評価の予測精度がマルチ基準スコアモデルの性能に敏感になりがちである。本論文では、予測された各マルチ基準サブスコアに対して自動的に重みを割り当てる統合モデルを提案する。提案するアーキテクチャは、マルチ基準評価モデルと全体評価モデルを統一されたシステム内に統合することで、エンドツーエンドの形でマルチ基準推薦の学習および推論を実現可能にしている。3つの実データセットを用いた実験の結果、本研究で提案するアーキテクチャは、ベースライン手法と比較して予測誤差を最大13.14%低減することを確認した。