11日前

MIMIC-III、無料で利用可能な集中治療医療データベース

{Roger G. Mark, Leo Anthony Celi, Peter Szolovits, Benjamin Moody, Mohammad Ghassemi, Mengling Feng, Li-wei H. Lehman, Lu Shen, Tom J. Pollard, Alistair E.W. Johnson}
MIMIC-III、無料で利用可能な集中治療医療データベース
要約

MIMIC-III(「Medical Information Mart for Intensive Care」)は、米国マサチューセッツ州ボストンのベス・イスラエル・デイコネス・メディカル・センター(Beth Israel Deaconess Medical Center)に救急治療ユニット(ICU)に入院した患者に関する情報を収集した大規模かつ単一施設型のデータベースである。このデータベースには、生命徴候、薬剤投与記録、検査所見、医療従事者が記録した観察記録およびノート、体液バランス、手技コード、診断コード、画像診断報告書、入院期間、生存データなど、多岐にわたる臨床情報が含まれる。本データベースは、学術研究および産業研究、医療品質改善プロジェクト、高等教育の授業教材など、さまざまな用途を支援している。近年、病院におけるデジタル医療記録システム(EHR: Electronic Health Record)の導入が急速に進んでいる。たとえば、米国では2008年から2014年の7年間にわたり、非連邦政府系急性期病院のうち、基本的なデジタル記録システムを導入している病院の割合が9.4%から75.5%まで増加した(参照文献1)。このような進展にもかかわらず、デジタル医療システム間の相互運用性(interoperability)は依然として未解決の課題であり、データ統合に困難を伴う状況が続いている。その結果、病院が保有するデータが臨床ケアの理解と改善に貢献する潜在能力は、まだ十分に発揮されていない。一方で、科学界は研究の再現性(reproducibility)の欠如について、ますます批判を受けるようになっている(参照文献2)。本稿では、広く利用されているMIMIC-IIデータベース(データ引用1)のアップデート版として、MIMIC-IIIデータベースの公開を報告する。MIMIC-IIIは、ボストンのベス・イスラエル・デイコネス・メディカル・センターに入院した患者の匿名化済みかつ包括的な臨床データを統合し、国際的な研究者に対してデータ利用契約(data use agreement)の下で広く公開している(図1)。このデータのオープン性により、従来不可能であった臨床研究の再現性向上や、さらなる研究の改善が可能となる。

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