要約
悪天候(霞、霧、しろじ、スモッグなど)下で撮影された画像の可視性は、大気中の微粒子による光の散乱によって低下する。単一画像の除霧(Single Image Dehazing: SID)手法は、単一の霞がかった画像から可視性を回復するために用いられる。SIDはその不適切な定式化(ill-posed nature)のため、非常に困難な問題である。一般的に、大気散乱モデル(Atmospheric Scattering Model: ATSM)がSID問題の解決に用いられる。ATSMにおける主要なパラメータは、透過率(transmission)と大気光(atmospheric light)である。SIDの精度と効果は、これらのパラメータの正確な値に大きく依存する。本研究では、透過率推定問題を、霞がかかった画像と透過率がゼロの晴天画像の最小色チャネルの差分推定問題に変換する手法を提案する。この変換された問題は透過率の下限値を提示し、除霧における再構成誤差を最小化するために利用される。この下限値は、境界関数(Bounding Function: BF)と品質制御パラメータに依存する。さらに、透過率の高精度推定を実現するため、非線形モデルを用いてBFを推定する手法を提案する。本研究で提案する品質制御パラメータは、除霧の効果を調整するためのツールとして利用可能である。提案手法による透過率推定の精度は、最先端の除霧手法と比較され、視覚的比較および客観評価を通じて、本手法の有効性が裏付けられている。