
要約
より洗練されたデータ集約型手法の登場にもかかわらず、ブーストされた決定木は高速な剛体物体検出において依然として極めて高い性能を発揮しており、多数のデータセットでトップレベルの精度を達成している。しかし、現行の大多数のブースト検出器は、直交(単一特徴)分割を用いた決定木に依存しており、得られる決定境界のトポロジーはデータの自然な構造と完全に一致しない場合がある。特に特徴量間に強い相関が存在する場合には、複数特徴を同時に用いる斜め(oblique)分割を採用した決定木が有効である。しかしながら、斜め分割の導入は著しい計算コストの増加を伴う。近年のHOG特徴量の判別的非相関化に関する研究に着想を得て、本研究では局所領域内の相関を効率的に除去する特徴変換手法を提案する。この変換により、過完備(overcomplete)ではあるが局所的に非相関化された表現が得られ、直交型決定木との組み合わせに最適化されたものとなる。実際、本手法で得られた局所的に非相関化された特徴量を用いた直交型決定木は、元の特徴量上で学習された斜め決定木をはるかに上回る性能を発揮しつつ、計算コストはごくわずかに抑えることができる。全体的な精度向上は顕著であり、Caltech Pedestrian Datasetにおいて、従来の最先端手法と比べて誤検出をほぼ10分の1にまで低減することに成功した。