
要約
従来の画像強調手法は、入力画像における過露出または欠露出のいずれか一方の問題に対処するように設計されている。しかし、入力画像の照度に両方の問題が同時に存在する場合、これらの従来手法は十分な効果を発揮できないことがある。画像統計の観察から、過露出と欠露出の両方を含む画像では、局所的な照度の違いに応じて画像内の異なる領域において局所色分布(Local Color Distributions: LCDs)が変化する傾向があることが分かった。この観察に基づき、本論文では、これらのLCDを事前知識(prior)として用い、過露出領域および欠露出領域の特定と強調を実現する手法を提案する。まず、LCDを用いてこれらの領域を表現し、異なる領域間の相関をモデル化するため、マルチスケールでLCDを表現する新たな「局所色分布埋め込み(Local Color Distribution Embedded: LCDE)モジュール」を提案する。次に、二つの露出状態に対応する領域を同時に強調するため、二重照度学習機構(dual-illumination learning mechanism)を設計する。さらに、カメラの画像信号処理(Image Signal Processing: ISP)パイプラインに従い、RAWデータから過露出および欠露出を併せ持つ標準RGB画像をレンダリングすることで、学習を促進するための新規データセットを構築した。広範な実験により、提案手法が従来の最先端手法に対して定量的および定性的な面で優れた性能を示すことが確認された。コードおよびデータセットは、https://hywang99.github.io/lcdpnet/ にて公開されている。