要約
知識グラフは、人工知能アプリケーションに強力な支援を提供できる実世界の知識を豊富に含んでいる。知識グラフ補完分野では、近年大きな進展が見られ、最先端のモデルはグラフ畳み込みニューラルネットワーク(GCN)に基づいている。これらのモデルは、グラフモデルの特徴と組み合わせて自動的に特徴を抽出し、表現力の高い特徴埋め込みを生成する。しかし、これらの手法は知識グラフ内の関係パスに対して同一の重みを割り当てており、隣接ノードに含まれる豊富な情報を見逃すという問題があるため、三項組の特徴を十分に抽出できていない。このような課題に対処するため、本研究では、減衰型アテンション機構を統合した新たな表現手法「グラフ減衰型アテンションネットワーク(GAAT)」を提案する。この機構により、異なる関係パスに対して異なる重みを付与し、隣接ノードからの情報を効果的に獲得できる。その結果、任意の隣接ノードにおけるエンティティおよび関係の学習が可能となる。実証的な研究により、減衰型アテンションに基づくモデルの有効性が示され、標準ベンチマークデータセットであるWN18RRおよびFB15k-237において、最先端手法と比較して顕著な性能向上が確認された。