
要約
感情認識における重要な周波数帯域および電極チャネルを調査するため、本研究では深層信念ネットワーク(Deep Belief Networks: DBNs)を用いて、ポジティブ、ニュートラル、ネガティブの3種類の感情を対象としたEEGベースの感情認識モデルを構築した。15名の被験者から得られたEEGデータを用いたデータセットを構築した。各被験者は数日間隔を空けて2回実験を実施した。DBNsは、多チャネルEEGデータから抽出した微分エントロピー特徴量を用いて学習させた。学習済みDBNsの重みを分析し、重要な周波数帯域および電極チャネルを特定した。4、6、9、12チャネルの4種類の異なるチャネル構成を設定し、それぞれの認識精度を評価した。その結果、4つの構成における認識精度は相対的に安定しており、最高で86.65%を達成した。これは元々の62チャネルを使用した場合よりも優れた性能であった。学習済みDBNsの重みを用いて特定された重要な周波数帯域およびチャネルは、既存の研究結果と整合性を示した。さらに、本実験の結果から、異なる感情に特有の神経的サインが存在し、セッション間および被験者間で共通する特徴が確認された。深層学習モデルと浅層学習モデルの性能を比較した結果、DBN、SVM、LR、KNNの平均認識精度はそれぞれ86.08%、83.99%、82.70%、72.60%であった。