
要約
これまでの感情分析におけるアスペクトベース感情分析(ABSA)は、合計7つのサブタスクに分類されてきたが、これらのサブタスク間の相互作用については十分に検討されてこなかった。本研究では、統合的なABSAを実現するとともに、これらの相互作用を維持するための新しいマルチプレックス・キャスケードフレームワークを提案する。まず、7つのサブタスクを「容易なタスクから難しいタスクへ」という順序で階層的な依存関係としてモデル化し、その基盤の上でマルチプレックスデコード機構を提案する。この機構により、下位タスクの感情構造や手がかりを上位タスクに効率的に伝達することが可能となる。マルチプレックス戦略は、サブタスク間の高効率な情報フローを実現し、重複した学習を回避する一方で、追加のアノテーションを必要とせずに既存データを十分に活用できる。さらに、アスペクト・意見語項の抽出およびペアリングの特性を考慮し、語彙的品詞(POS)タグおよび構文的依存関係情報を統合することで、語項の境界とペアリングの識別を強化した。提案する「構文意識型マルチプレックス(SyMux)」フレームワークは、28のサブタスク(7×4データセット)において大幅な性能向上を達成した。