背景:潰瘍性大腸炎(UC)における内視鏡的活動度の評価は、治療方針の決定および疾患進行のモニタリングにおいて重要である。しかし、評価における観察者間および観察者内での著しいばらつきが、評価の信頼性を損なっている。本研究の目的は、深層学習を用いたコンピュータ支援診断システムを開発し、主観性を低減し、評価の信頼性を向上させることである。方法:対象は、UCの内視鏡検査を受診した564例の患者から得られた11,276枚の画像で構成される。本研究では、Mayo内視鏡スコア(MES)に基づくUCの内視鏡的評価を目的とした、回帰アプローチを用いた深層学習手法を提案する。性能評価および比較には、5種類の最先端の畳み込みニューラルネットワーク(CNN)アーキテクチャを用いた。モデルの訓練および客観的な性能比較には10分割交差検証を採用した。モデルの性能評価には、全MESスコア分類において二次加重カッパ係数およびマクロF1スコアを、寛解分類においてはカッパ統計量およびF1スコアを用いた。結果:本研究で用いた5種類の分類ベースのCNNアーキテクチャは、カッパ統計量に基づく評価において、すべてのMESサブスコアおよび寛解分類において専門家によるアノテーションと優れた一致を示した。提案する回帰ベースのアプローチを用いた場合、(1)多数のモデルにおいて性能が統計的に有意に向上し、(2)異なる交差検証フォールドで訓練された同一モデルが、テストセットにおいてフォールド間のばらつきが小さく、より安定した結果を示した。結論:包括的な実験評価により、一般的に用いられる分類ベースのCNNアーキテクチャは、UCの内視鏡的疾患活動度評価において高い性能を発揮することが示された。これらのアーキテクチャに分野知識を統合することで、性能およびロバスト性がさらに向上し、臨床応用への移行を加速することが期待される。