
ハイパースペクトル画像(HSI)のスペクトル特性と空間特性を効果的に活用することは、スペクトルスナップショット再構成分野における常に重要な課題である。近年、スペクトル単位のトランスフォーマー(spectra-wise transformer)は、HSIにおける異なるスペクトル間の類似性を捉える上で大きな可能性を示している。しかし、従来のトランスフォーマー設計では、スペクトル(チャネル)次元におけるマルチヘッド分割が行われており、これがグローバルなスペクトル情報のモデリングを妨げ、平均化効果(mean effect)を引き起こすという問題がある。さらに、従来の手法は画像形成プロセスを考慮せずに通常の空間的事前知識(spatial priors)を採用しており、スナップショットスペクトル再構成において特有の空間的劣化を適切に扱えていない。本研究では、マルチヘッド分割の影響を分析し、スペクトル情報の活用を強化するとともに、空間的劣化を改善するための新しい「スペクトル-空間補正(Spectral-Spatial Rectification: SSR)」手法を提案する。具体的には、SSRは2つの核心モジュールから構成される:窓ベースのスペクトル単位自己注意(Window-based Spectra-wise Self-Attention: WSSA)と空間補正ブロック(spAtial Rectification Block: ARB)。WSSAはグローバルなスペクトル情報を捉えつつ、局所的な差異を適切に表現することを目的としている。一方、ARBは空間アライメント戦略を用いて、空間的劣化を軽減することを目的としている。シミュレーションおよび実環境データを用いた実験結果から、提案するモジュールの有効性が確認された。さらに、複数スケールのモデルを提供することで、本手法の優位性を明確に示している。