
要約
関係分類は情報抽出分野における最も重要なタスクの一つであり、非構造化テキストの関係的理解を必要とするシステムの鍵となる要素でもある。従来の関係分類アプローチは、性能向上のため外部リソースや背景知識を活用する傾向にあり、エンティティペア間の相関関係に着目しないことが一般的である。本研究では、エンティティペア間の相関関係を表現する「エンティティペアグラフ」の概念を提案し、グラフ畳み込みネットワーク(GCN)を用いてエンティティペアグラフのトポロジカル特徴を捉える新しいエンティティペアグラフベースのニューラルネットワーク(EPGNN)モデルを構築した。EPGNNは、事前学習済みのBERTモデルによって生成された文の意味特徴と、グラフのトポロジカル特徴を統合し、関係分類を実現する。本モデルは、与えられたコーパスを十分に活用しつつ、外部リソースや背景知識の導入を不要とする。SemEval 2010 Task 8およびACE 2005という2つの広く用いられるデータセットにおける実験結果から、本手法が最先端のアプローチを上回ることを示した。