16日前

ECGデータセットの多様性がQRS複合波検出用CNNモデルの一般化性能に与える影響

{Chandan Karmakar, John Yearwood, Ahsan Habib}
要約

心電図(ECG)信号におけるQRS複合波の検出は、自動心疾患診断において極めて重要である。自動QRS検出は30年以上にわたり研究対象となっており、いくつかの従来手法は十分な検出精度を達成しているが、これらの手法が研究に特化したデータベース以外の環境においても有効であるかどうかは、これまで十分に検討されてこなかった。ECG信号の非定常性および被験者内・被験者間での信号ばらつきは、単一のQRS検出器が妥当な性能を発揮する上で大きな課題をもたらす。現実の臨床現場においては、多様なECG記録に対して一定の精度を維持できる有望なQRS検出器が求められるため、モデルの汎化能力に関する検証は極めて重要である。本研究では、MIT-BIH Arrhythmia、INCART、QTの3つの公的ECGデータベースを対象に、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)ベースのモデルの汎化能力を、被験者ごとのleave-one-out法および5分割交差検証(intra-database)および単一および複数データベースを用いた学習による異データベース間検証(inter-database)の観点から評価した。leave-one-out検証では、各データベースに対してそれぞれ99.22%、97.13%、96.25%の検出精度を達成した。一方、異データベース間検証では、INCARTを除きすべてのケースで90%以上の精度を示した。性能の変動から明らかになったのは、単に学習サンプル数を増やすだけではCNNモデルの汎化能力が自動的に向上するわけではないことであり、多様な被験者からのサンプルを含むデータセットの構築が、妥当なQRS検出精度を実現する上で不可欠であるという点である。

ECGデータセットの多様性がQRS複合波検出用CNNモデルの一般化性能に与える影響 | 最新論文 | HyperAI超神経