要約
最近、コスト効率の高い深度センサとShottonらのリアルタイム骨格推定アルゴリズムの組み合わせにより、骨格に基づく人体行動認識に対する関心が再び高まっている。既存の骨格ベースのアプローチの多くは、人体骨格を関節位置または関節角を用いて表現している。本論文では、3次元空間における回転と並進を用いて、体部間の3次元幾何学的関係を明示的にモデル化する新しい骨格表現を提案する。3次元剛体運動は特殊ユークリッド群SE(3)の元であるため、本提案表現はSE(3)×…×SE(3)という曲がった多様体(リーマン多様体)上に存在する。この表現を用いることで、人体行動はこのリーマン多様体上の曲線としてモデル化できる。しかしながら、この群上の曲線の分類は容易ではないため、行動曲線をそのリーマン多様体のリーマン代数(Lie algebra)へ写像する。リーマン代数はベクトル空間であるため、その後、動的時系列歪み(Dynamic Time Warping: DTW)、フーリエ時系列ピラミッド表現(Fourier Temporal Pyramid Representation)、および線形サポートベクターマシン(Linear SVM)を組み合わせた手法により分類を行う。3つの行動データセットに対する実験結果から、提案表現は従来の多くの骨格表現を上回る性能を示した。さらに、本手法は複数の最先端の骨格ベース人体行動認識手法をも上回る結果を達成した。