本研究では、少量のラベル付きサンプルに対して迅速にモデルを適応させるとともに、未知クラスのサンプルを除外する「少サンプルオープンセットオブジェクト検出」(Few-Shot Open-Set Object Detection, FOOD)の問題に取り組む。近年の手法は、未知クラスの除外に重みの疎化(weight sparsification)を用いることが一般的であるが、データが極めて少ない状況に特化した設計が不足しているため、性能は十分とは言えない。本研究では、この挑戦的なFOOD問題を3つの視点から解決する。第一に、従来の仮想未知サンプルのマイニング手法とは異なり、確率分布のディリクレ分布(Dirichlet distribution)に基づく証拠的不確実性(evidential uncertainty)を用いて、前景および背景の候補領域空間から仮想未知サンプルを効果的に抽出する。第二に、仮想未知サンプルの数と交差和集合(Intersection over Union, IoU)の統計的関係を分析し、局所化の精度を考慮したIoUに配慮した未知クラス判定目的関数(IoU-aware unknown objective)を提案する。これにより、未知クラスの決定境界を明確にすることで検出性能を向上させる。第三に、過学習を抑制し、未知クラスの除外に対するモデルの汎化能力を高めるために、ヒルベルト=シュミット独立基準(Hilbert-Schmidt Independence Criterion, HSIC)に基づく移動重み平均化(moving weight averaging)を分類ヘッドおよび回帰ヘッドの重み更新に導入する。この手法は、現在の重みと長期記憶バンクに保存された過去の重み間の独立性の度合いを考慮することで、より安定した学習を実現する。提案手法を複数の最先端手法と比較した結果、VOC-COCOデータセット設定において、すべてのショット数において未知クラスの平均リコール(mean recall)が12.87%向上することが確認された。本研究のコードは、https://github.com/binyisu/food にて公開されている。