
要約
分子グラフ上での学習を目的とした階層的ニューラルメッセージパッシングアーキテクチャを提案する。本モデルは、分子グラフの原始的な表現と、その関連するジャンクションツリーという2つの補完的なグラフ表現を入力とする。ここで、ジャンクションツリーのノードは、元のグラフにおける意味のあるクラスタ(例えば環やブリッジ化合物)を表す。その後、各グラフ内でのメッセージの伝達を通じて分子の表現を学習し、粗いスケールから細かいスケールへ、および逆に細かいスケールから粗いスケールへと情報を伝える階層的な情報フローを用いて、二つの表現間でメッセージの交換を行う。本手法は、従来のGNN(グラフニューラルネットワーク)で知られる制約(例:サイクルの検出困難)を克服しつつ、非常に効率的な学習が可能である。性能の有効性は、ZINCデータセットおよびMoleculeNetベンチマークコレクションから得られたデータセットを用いて検証された。