
要約
最近の関係抽出に関する研究の注目は、対話シナリオ、すなわち対話レベルの関係抽出(DiaRE)に移りつつある。既存のDiaRE手法は、対話内の発話を単に長文として連結するか、単純な語、文、エンティティを用いて対話グラフを構築するにとどまっているが、対話に内在する構造的特徴は十分に活用されていない。本研究では、対話レベルの混合依存グラフ(D2G)と議論推論グラフ(ARG)を導入し、グローバル関係推論機構を用いたDiaREのための新規アプローチを提案する。まず、構文構造と話法構造を明示的に統合することで、対話全体を一貫性のある統合的D2Gとしてモデル化し、関係抽出に向けたより豊かな意味的・特徴的学習を可能にする。次に、D2Gの上にARGグラフを重ねることで、議論間の依存関係学習および議論表現の精緻化を強化し、議論関係の十分な推論を実現する。本研究のグローバル推論フレームワークでは、D2GとARGが協調的に働き、対話全体の文脈上で語彙的・構文的・意味的情報を反復的に交換・学習し、表現を更新する。2つのDiaREベンチマークにおいて、本フレームワークは現在の最良手法と比較して顕著な性能向上を示した。さらに、詳細な分析から、モデルが長距離依存問題を効果的に解決していることが明らかになり、同時に予測結果の説明可能性も保証されていることが確認された。