要約
フェイクニュースおよび誤情報の拡散は、社会に深刻な問題を引き起こしている。その要因の一つとして、人々の多くが、情報の信頼性を前提として、ニュースの見出しや要約のみを読む傾向が強まっていることが挙げられる。このため、内容に歪みや虚偽が含まれていないかを丁寧に検証する姿勢が希薄になりつつある。特に、適切に設計されたニュース記事の見出しは、その記事の主要な情報を要約した内容と一致しているべきである。しかし、クリック数の増加や政治的意図などの多様な利害関係が関与するため、見出しが本来の目的(すなわち正確な要約)を果たしていないケースが頻発している。本論文では、見出しの立場(すなわち、その内容に対する態度)を、自動生成されたニュース要約を用いて分析することを目的とする。そのため、ニュース本文全体ではなく、要約技術によって抽出された情報を分類器の入力として用いる二段階アプローチを提案する。これにより、処理すべき情報量を削減しつつ、重要な情報を維持することができる。実験は「Fake News Challenge FNC-1」データセットを用いて実施された結果、94.13%の精度を達成し、既存の最先端技術を上回った。特に注目すべきは、自動抽出要約によって得られる関連情報のみを用いる本手法が、非常に競争力のある結果を示した点である。このことから、短い情報(見出しや文)の立場を、その全文に対するものとして判定する際に、自動抽出要約の活用が明確なポジティブな影響を及ぼすことが示された。