
要約
意見役割ラベリング(Opinion Role Labeling: ORL)は、細粒度の意見抽出において重要なタスクであり、与えられた意見トリガーに対して、意見主(holder)や対象(target)といった重要な意見論点を特定することを目的とする。このタスクは、述語に対してその意味論的論点(例:主体・対象)を特定する意味論的役割ラベリング(Semantic Role Labeling: SRL)と強く関連している。一般的に、述語の主体(agent)と対象(patient)は、それぞれ意見の主(holder)と対象(target)に対応するため、SRLの情報をORLに活用することは有望である。本研究では、SRLから学習された意味論的注意型単語表現(semantic-aware word representations)を用いてORLを向上させる、簡潔かつ新規な手法を提案する。これらの表現は、ベースラインのニューラルORLモデルの基本入力として用いられる。提案手法の有効性は、標準ベンチマークであるMPQAコーパス上で検証された。実験結果から、本手法が非常に効果的であることが確認された。さらに、SRL統合に関する代表的な2つの手法と比較した結果、本手法はそれらを顕著に上回り、より優れた手法よりもFスコアで1.47%高い性能を達成した。