
ネットワークコミュニティ検出は、ネットワーク解析における注目すべき研究テーマである。多くの手法がコミュニティ検出のために提案されてきたが、それらの多くは個々のノードやエッジレベルにおける低次構造のみを考慮しており、小さな密集した部分グラフパターン(例:モチーフ)レベルにおける高次構造の特性を捉えられていない。近年、高次構造を考慮した手法が開発されたが、これらは一般的にモチーフに基づくハイパーグラフを仮定しており、そのハイパーグラフが連結であることを前提としている。しかし、実世界のネットワークではこの仮定が常に成り立つとは限らない。特に、ハイパーグラフが断片化(fragmentation)する場合がある。つまり、元のネットワークが連結であっても、ハイパーグラフは多数の連結成分と孤立ノードを含む形で構成されることがある。このため、従来の高次手法は、ハイパーグラフ上で接続のないノードが同じコミュニティに属していても、それらを統合できず、断片化の問題により著しく性能が低下する。この問題に対処するため、本研究では「モチーフに配慮したコミュニティ検出のためのエッジ強化法(EdMot)」を提案する。本手法の基本的なアイデアは以下の通りである。まず、モチーフに基づくハイパーグラフを構築し、その中で上位K個の最大連結成分をモジュールに分割する。次に、各モジュール内における接続構造を強化するために、エッジ集合を構築し、各モジュールからクリーク(完全部分グラフ)を生成する。この新たなエッジ集合に基づき、入力ネットワークの元の接続構造を強化し、再配線されたネットワークを生成する。これにより、モチーフに基づく高次構造を有効に活用するとともに、ハイパーグラフの断片化問題を効果的に解決できる。最後に、再配線されたネットワークを分割することで、高次構造を反映したコミュニティ構造を取得する。