エンティティ解決(Entity Resolution, ER)は、データ統合における中心的な課題である。現在の最先端(SOTA)のER結果は、多数のラベル付き一致/非一致エンティティペアを用いて学習された深層学習(Deep Learning, DL)手法によって達成されている。こうしたアプローチは、十分に整備されたベンチマークデータセットを用いる場合には問題ない場合が多い。しかし、多くの実世界のER応用においては、大規模なラベル付きデータセットを収集するという困難な課題に直面する。本論文では、以下のような問いに答えることを目的とする:もし、ラベル付きのソースERデータセットが十分に整備されている場合、ターゲットデータセットに対してラベルが全くない、あるいは少数のラベルしか持たない状況でも、DLベースのERモデルを学習可能か?この問題はドメイン適応(Domain Adaptation, DA)と呼ばれるものであり、コンピュータビジョンや自然言語処理分野では大きな成功を収めているが、ER分野における系統的な研究はまだ十分に行われていない。本研究の目的は、ERにおけるさまざまなDA手法の利点と限界を体系的に探求することにある。そのため、ERにおけるDAの応用を大幅に進展させるDADER(Domain Adaptation for Deep Entity Resolution)フレームワークを構築した。本フレームワークでは、DADERの3つのモジュール—特徴抽出器(Feature Extractor)、マッチャー(Matcher)、特徴アライナー(Feature Aligner)—に関する設計解の空間を定義した。これまでにない包括的な実験研究を実施し、DA手法の選択肢を体系的に検証・比較した。また、広範な実験結果に基づいて、適切な設計選択を導くための指針を提示する。