
要約
未知の劣化画像の分類は、実用応用において極めて重要である。なぜなら、画像劣化モデルが通常は未知であるためである。拡散モデル(Diffusion-based models)は、劣化画像からの画像強調および画像復元において優れた性能を発揮する。本研究では、拡散モデルを復元(restoration)のためではなく、適応(adaptation)のための手法として用いる。劣化画像からの復元は、劣化のないクリーンな画像を再構成することを目的とするが、適応は劣化画像をクリーン画像の領域へと変換することを目的とする。しかしながら、未知の劣化モデルに起因する特定の劣化条件下では、拡散モデルは画像適応を正確に行うことが困難である。この問題に対処するため、本研究では、いくつかの既知の劣化条件下で訓練されたロバストな分類器を基に、未知の劣化画像に対する拡散ベースの適応手法(Diffusion-based Adaptation for Unknown Degraded images, DiffAUD)を提案する。本手法は拡散モデルを補完し、劣化の種類や重度が異なるさまざまな状況において一貫して良好な汎化性能を示す。ImagNet-Cデータセットにおける評価では、ResNet-50、Swin Transformer (Tiny)、ConvNeXt-Tinyの各バックボーンを用いた場合、ベースラインの拡散モデルおよびクリーン画像分類器と比較して、それぞれ5.5%、5%、5%の性能向上を達成した。さらに、既知の劣化条件下で分類器を訓練することで、劣化画像の分類性能が顕著に向上することを実証した。