要約
豊富な地球観測データの登場により、陸上生態系の状態および健康に対する気候変動の影響を予測するための新しい予測手法の開発が可能になった。本研究では、地表面の反射率および植生の緑化度の空間的・時間的変動に注目し、現在および過去の気候条件および局所的な地形を前提として、緑化植生の密度および活動的葉面積を測定する。我々は、異質な景観における地表面反射率の空間分解能を有する初期状態(ベースラインフレームワーク)からの偏差を予測するため、畳み込み層を用いた2種類の代替的再帰型深層学習モデルを構築した。ベースラインフレームワークの訓練収束速度に着目し、その効率性を実証した。ヨーロッパ全域にわたる多様な生態系および土地被覆タイプのデータを用い、標準化されたモデル評価フレームワーク(EarthNet2021チャレンジ)に従った結果、本研究で提示するモデルは、既存の公開ベンチマークと比較して、干ばつ発生時の地表面の緑化度予測性能が向上していることが示された。これらの結果は、深層学習手法が気候極端現象(たとえば、干ばつに起因する緑葉の喪失)の影響に対する植生応答を早期に警告する手段として有効であることを示している。