要約
現実世界の複雑ネットワークにおいて、コミュニティ構造は広く見られる。このようなネットワークにおけるコミュニティ検出のタスクは、さまざまな応用分野において極めて重要な意義を持つ。近年、ノードのコミュニティ所属を自然に捉えることができ、解釈性に優れる点から、非負値行列分解(NMF)がコミュニティ検出に広く採用されている。しかし、従来のNMFに基づくコミュニティ検出手法は浅い構造を有しており、元のネットワークを直接コミュニティ所属空間に写像することでコミュニティ割り当てを学習している。現実世界のネットワークは複雑かつ多様なトポロジー構造を持つため、元のネットワークとコミュニティ所属空間との間には、非常に複雑な階層的構造が含まれている可能性が高く、従来の浅いNMF手法ではそのような情報を適切に捉えることが困難である。深層自己符号化器(deep autoencoder)が持つ特徴表現学習の優れた能力に着目し、本研究では新たなモデル、Deep Autoencoder-like NMF(DANMF)を提案する。DANMFは深層自己符号化器と同様に、エンコーダ部とデコーダ部から構成されており、中間層において元のネットワークの隠れ属性を低次元から高次元へと段階的に学習することで、元のネットワークと最終的なコミュニティ割り当てとの間の階層的写像を効果的に学習できる。この構造により、DANMFはコミュニティ検出タスクに適したより強力な表現能力を有すると期待される。ベンチマークデータセットを用いた広範な実験により、DANMFが最先端のNMFベースのコミュニティ検出手法を上回る性能を達成することが確認された。