
要約
手持ちカメラによる低照度条件下での撮影画像は、長時間露光が必要なため、しばしばぼやけてしまう。近年、画像のぼかし除去に関する研究は顕著な進展を遂げているが、最先端の手法は低照度画像に対してはしばしば効果を発揮しない。その理由は、これらの画像にはぼかし除去手法が依存する十分な顕著な特徴量が含まれていないためである。一方、低照度画像では光ストリーク(光線の帯状模様)がよく見られ、豊富なぼかし情報を含んでいるが、従来の手法ではこれほどの利用が十分に行われてこなかった。本研究では、光ストリークを活用して低照度画像のぼかし除去を支援する新しい手法を提案する。我々は、光ストリークとその背後にある光源を明示的にモデル化する非線形ぼかしモデルを導入し、最適化フレームワークにおけるぼかしカーネル推定の制約条件として用いる。また、入力画像から有用な光ストリークを自動的に検出する仕組みも備えている。実験結果により、従来のあらゆる手法では達成できなかった、実世界の困難な事例においても良好な性能を発揮することが示された。