要約
霞む環境はシーンの放射輝度を減衰させ、シーンの色やテクスチャの識別を困難にする。除霧のための重要なステップの一つは、グローバルなエアライトベクトルの回復である。従来の手法では、霞む画像における最も明るい領域のRGB値をエアライトとして解釈することが一般的であった。本稿では、多様な色温度の照明条件下でもエアライト推定のロバスト性を向上させるために、「色定常性の事前知識(color constancy prior)」と呼ばれる新しい事前知識を提案する。この事前知識は、遠方の景観物体が、画素値が高輝度側にシフトする傾向により、最も霞みが強い状態になるという統計的観察に基づいている。多様な霞む画像に対する比較評価の結果、提案する事前知識は既存のエアライト回復手法を上回る性能を示し、後続の除霧応用に利用可能であることが明らかになった。