
要約
ドラッグディスカバリの効率向上は、長年にわたり中心的な課題である。この目的のため、迅速かつ低コストで潜在的なドラッグ候補を探索するための多数のグラフ学習手法が開発されてきた。実際、限られたデータセット上で高い予測性能を達成しようとする試みが、これらの手法のアーキテクチャおよびハイパーパラメータを固定化させてしまい、ドラッグディスカバリの現場で新たに生成されるデータへの再利用(リポジショニング)において、その優位性を失っている。本研究では、任意のデータセットに柔軟に適応し、高精度な予測を実現する手法を提案する。提案手法は、データセットから学習し、適応的なパイプラインを通じて予測器を出力する。手動による介入を一切不要としつつ、従来の手作業で設計されたニューラルネットワークアーキテクチャや固定された要素に基づく手法と比較して、すべてのテストデータセットにおいて大幅に優れた予測性能を達成した。さらに、本手法が従来手法よりも高いロバスト性を示し、意味のある解釈可能性(interpretability)を提供することも明らかになった。以上の観点から、提案手法は高い適応性、性能、ロバスト性および解釈可能性を備え、分子間相互作用や分子特性の予測に信頼できるツールとして機能しうる。本研究は、研究者が高効率でより優れた薬剤を設計するのを支援するという目的に向けて、確かな一歩を踏み出した。