
3Dポイントクラウドセグメンテーションは、医療、ロボット工学、自動運転などにおける応用において、物体構造に対する高レベルな意味的理解を提供する。本論文では、3Dポイントクラウドセグメンテーションを目的とした敵対的グラフ畳み込みネットワーク(Adversarial Graph Convolutional Network)を提案する。近年の多くのネットワークは、粗雑なネットワークアーキテクチャおよび局所的特徴集約手法のため、セグメンテーション精度が低く、計算複雑度が高くなるという問題に直面している。これらの課題を克服するために、本研究では以下の2点を提案する。a) セグメンテーションネットワークに有用な情報を提供するディスクリミネータネットワークを備えた敵対学習スキームに基づくグラフ畳み込みネットワーク(GCN)を導入し、セグメンテーション精度を向上させる。b) 局所的特徴集約のための新しいグラフ畳み込み演算であるGeoEdgeConvを設計することで、セグメンテーション精度を向上させるとともに、空間的および時間的複雑度の増加を抑える。提案手法では、敵対的損失として埋め込みL2損失を用いることで、隣接するラベル間の一貫性を強制し、ノイズラベルの低減を実現する。GeoEdgeConvは、点の位置情報と相対的位置特徴を併用することで、畳み込み層間でも幾何学的構造を保持し、複雑な構造の微細な特徴を学習可能にすることで、境界領域におけるセグメンテーション精度を向上させるとともに、クラス内部のラベルノイズを低減しつつ、計算複雑度の増加を伴わない。ShapeNet Partデータセットにおける実験結果から、本モデルは既存の最先端(SOTA)手法を上回る性能を示しつつ、より低い計算複雑度を実現しており、低消費電力ながら高精度なセグメンテーションを要する応用分野における強い応用可能性を示している。