
要約
顔認証システムは、使いやすさと高い効果性から、現在では電子機器における保護データへのアクセス制御に広く採用されている。しかし、こうしたシステムの広範な導入は、セキュリティおよび信頼性に関する課題を伴う。その理由は、顔画像のスプーフ(偽造)が容易に作成可能であり、認証システムを欺くことが可能だからである。したがって、ユーザー識別システムに堅牢な顔スプーフ検出機能を統合する必要がある。この機能の目的は、照会された顔画像がスプーフであるか、生体(ライブ)であるかを検出することにある。現在の主流の顔スプーフ検出システムは、通常、照会画像のみに基づいてアクセスの許可または拒否を判断している。しかし、実世界のシナリオでは、顔認証システムはしばしば、ユーザーの識別を目的として、複数の生体画像を初期登録段階で記録・保存するプロセスを含む。本論文では、各照会画像に関連する登録画像(enrollment image)を考慮するため、既存の顔スプーフ検出ベンチマークを拡張する補完的なアプローチを提案する。この戦略を最近導入された2つのデータセット、CelebA-SpoofおよびSiWに適用した。また、既存のスプーフ検出モデルがユーザーの登録データを用いて簡単に個別化可能であることを示し、新たに提案されたデータセット分割(CelebA-Spoof-EnrollおよびSiW-Enroll)上で、強化された手法の有効性を評価した。