患者間心拍分類のための新しい階層的手法:ランダム射影とRR間隔を活用した方法

背景患者間分類スキーマおよび医療機器の進展を促進するための団体(AAMI)の基準は、自動心拍分類システムの構築と評価において重要な役割を果たしている。これまでに提案された多数の手法は、上記の2つの側面を考慮しつつ、異なる心拍クラスの分類に同一の特徴量および分類手法を用いることが一般的であった。しかし、こうした手法では、心室性期外収縮(VEB)および心房性期外収縮(SVEB)の分類性能がしばしば不十分であった。方法VEBとSVEBの異なる生理的特徴を踏まえ、これらの2種類の心拍の分類性能を向上させるために、新たな階層型心拍分類システムを構築した。本手法では、異なる特徴量と分類手法をそれぞれの心拍クラスに適応させた。具体的には、まずランダム投影(random projection)とサポートベクターマシン(SVM)アンサンブルを用いてVEBを検出した。次に、RR間隔の比を事前に設定した閾値と比較してSVEBを検出する。分類モデルの最適パラメータは訓練データセット上で選定し、独立したテストデータセットでその性能を評価した。また、異なるリード配置が分類結果に与える影響についても検証を行った。結果本分類システムの性能は、他の既存手法と比較して顕著に優れていた。VEBの検出感度は93.9%、陽性予測値は90.9%を達成した。SVEBの検出感度は91.1%であったが、陽性予測値は42.2%であった。また、本分類プロセスは比較的高速であった。結論本研究では、患者間データ分割を考慮した階層型心拍分類システムを提案し、VEBおよびSVEBの検出に適用した。その結果、既存手法よりも優れた分類性能を示した。このシステムは、臨床現場における未知の患者に対するVEBおよびSVEBの検出に有望なツールとして位置づけられる。