
要約
我々は、エコウ・ステート・ネットワーク(Echo State Networks)と呼ばれるシンプルな脳にインスパイアされた機械学習手法に基づく、完全自動かつ高速な心電図(ECG)心律異常分類器を提案する。本分類器は、単一の心電図リード(lead)のみを必要とする低負荷な特徴処理を採用しており、学習および検証プロセスは患者間(inter-patient)の手順に従う。このアプローチは、近年の健康モニタリング用無線デバイスおよびウェアラブル機器の進展と整合性が高く、オンライン分類にも対応可能である。アンサンブル(ensemble)の組み合わせを活用することで、並列処理を効果的に活かし、極めて高速な分類器の学習が実現できる。心拍分類器は、MIT-BIH ARおよびAHAの2つの心電図データベースを用いて評価された。MIT-BIH ARデータベースにおいて、リードIIを用いた場合、心室性期外収縮(ventricular ectopic beats)の感度(sensitivity)は92.7%、陽性予測値(positive predictive value)は86.1%を達成した。一方、リードV1を使用した場合には、感度95.7%、陽性予測値75.1%を記録した。これらの結果は、完全自動心電図分類器における最先端技術と同等の性能を示しており、より複雑な特徴選択アプローチを採用する他の心電図分類器を上回る成果を上げている。