
要約
深層畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は、画像認識をはじめとするさまざまな応用分野で成功を収めている。一方、センサデータを用いたタスクなど多くの応用において生成される時系列データは、画像データとは異なる特性を有しており、その処理には特定のCNN構造の導入が求められる。本論文では、時系列データの分類を目的とした新しいCNNモデルを提案する。従来の単一の出力による重み調整とは異なり、本手法では複数の隠れ層から新たな中間出力を抽出することを提案する。これらの中間出力に対しては、主ターゲットとは異なる中間ターゲット(中間ラベル)を用いて学習を促進し、モデルの性能向上を図る。さらに、本手法では、元の訓練サンプルと中間ターゲットを用いて人工的に訓練インスタンス数を増加させる。このアプローチにより、元の訓練サンプルを用いた分類タスクを、より多くの訓練インスタンスを有する2クラスの新たな(しかし等価な)分類タスクに変換する。本研究で提案する時系列分類用CNN、CNN-TSは、2つの時系列間の距離に基づいて特徴を抽出する。CNN-TSは、多数のベンチマーク時系列データセット上で評価された結果、従来の単層CNNベース手法(中間層なし)と比較して全体的な正解率で5.1%高い性能を達成した。また、線形SVM、RBFカーネルSVM、ランダムフォレストといった古典的機械学習手法と比較して、平均正解率で21.1%高い結果を示した。さらに、ResNet法と比較して、平均的な学習時間は8.43倍高速であった。