
要約
知識グラフ(Knowledge Graphs: KGs)は、さまざまな分野での知識推論を可能にする上で重要な役割を果たしています。最近のKG推論手法では、全局情報と局所情報を統合することで有望な結果が得られています。しかし、既存の手法はしばしばスコアの過度な平滑化(score over-smoothing)に悩まされており、これにより正解と不正解の区別が曖昧になり、推論効果が阻害されることがあります。 この問題に対処するため、我々はDuetGraphという新しいKG推論メカニズムを提案します。DuetGraphは、双方向全局-局所融合(dual-pathway global-local fusion)を採用した粗密型(coarse-to-fine)推論手法です。DuetGraphは過度な平滑化を解決するために、局所情報(メッセージ伝播によって)と全局情報(注意機構によって)の処理を積み重ねるのではなく、それぞれ異なる経路で分離して行います。これにより相互干渉が防がれ、表現の差異性が保たれます。 さらに、DuetGraphは粗密型最適化(coarse-to-fine optimization)を導入しています。この最適化手法では、エンティティを高スコア群と低スコア群に分割します。この戦略により候補空間が狭まり、両群間のスコア差が明確になるため、過度な平滑化が緩和され、推論品質が向上します。 様々なデータセットに対する広範な実験結果から、DuetGraphは最先端(State-of-the-Art: SOTA)の性能を達成しており、最大8.7%の推論品質向上と1.8倍の学習効率向上が確認されています。