
要約
リアルタイムコンピュータビジョンアプリケーションにおいて、正確かつ高速な異常検出モデルの開発は重要な課題である。従来の研究では、構造的異常と論理的異常という本質的に異なる二種類の異常をそれぞれ検出可能な単一モデルの開発が多数行われてきた。しかし、現存の多くのアプローチは、異常を「異常な位置」の特定によって表現できると暗黙のうちに仮定している。本研究では、物体数の誤りといった論理的異常は、空間特徴マップのみでは十分に表現できないと主張する。そのため、特徴マップの空間情報を統合した特徴空間上で、分布外(out-of-distribution, OOD)検出アプローチを用いて論理的異常を検出する可能性に着目した。実証として、最先端の再構成ベース手法に対して、特徴空間上に簡易なOOD検出手法を組み込んだ新しい手法を提案する。本手法はPUAD(Picturable and Unpicturable Anomaly Detection)と命名し、提案手法の構成は単純であるにもかかわらず、MVTec LOCO ADデータセットにおいて最先端の性能を達成した。