17日前
知識グラフと事前学習言語モデルを活用した対話型レコメンデーションシステムにおける表現学習
Zhangchi Qiu, Ye Tao, Shirui Pan, Alan Wee-Chung Liew

要約
対話型レコメンデーションシステム(Conversational Recommender Systems: CRS)は、自然言語による対話と会話履歴を活用してユーザーの嗜好を推論し、正確なレコメンデーションを提供する。しかし、既存のCRSは会話の文脈や背景知識が限られているため、エンティティ間の相互関係をモデル化するため、外部の知識源(たとえば知識グラフ)に依存している。しかしながら、こうした手法はエンティティ内部に内在する豊富な情報(イントリシック情報)を無視している。この課題に対処するため、本研究では知識グラフと事前学習済み言語モデルを統合して、CRSにおけるエンティティの意味的理解を向上させる「知識強化型エンティティ表現学習(Knowledge-Enhanced Entity Representation Learning: KERL)」フレームワークを提案する。KERLフレームワークでは、事前学習済み言語モデルを用いてエンティティのテキスト記述を符号化するとともに、知識グラフを活用してエンティティ表現を強化する。さらに、会話におけるエンティティの時系列的性質を効果的に捉えるために位置符号化(positional encoding)を導入している。強化されたエンティティ表現は、エンティティ表現と文脈表現を統合するレコメンデーション部と、応答文にエンティティ関連の情報を含む情報を生成する対話部の両方に活用される。本研究を支援するため、エンティティ記述が整合された高品質な知識グラフとして「Wiki Movie Knowledge Graph(WikiMKG)」を構築した。実験結果から、KERLはレコメンデーションおよび応答生成の両タスクにおいて、最先端の性能を達成した。