
人物再識別(person re-identification, 以下、re-ID)は、人物検索のための識別的な特徴を学習するという課題で、非常に難易度が高いです。re-IDにおいて、ジャカード距離は特に再ランキングやクラスタリングの場面で広く使用される距離指標です。しかし、我々はカメラ変動がジャカード距離の信頼性に大きな負の影響を与えることを発見しました。具体的には、ジャカード距離は関連近傍点の重複に基づいて距離を計算しますが、カメラ変動により同一カメラ内のサンプルが関連近傍点を支配し、同一カメラ内のネガティブサンプルが導入されるとともに異なるカメラ間のポジティブサンプルが除外されることで、近傍点の信頼性が低下します。この問題を克服するために、我々は新しいカメラ情報を利用したジャカード(Camera-Aware Jaccard, 以下、CA-Jaccard)距離を提案します。特に、カメラ情報を利用したk相互最近傍点(Camera-Aware k-Reciprocal Nearest Neighbors, 以下、CKRNNs)を設計し、同一カメラ内と異なるカメラ間のランキングリスト上でk相互最近傍点を見つけ出すことで、関連近傍点の信頼性を向上させつつ異なるカメラ間のサンプルが重複に寄与することを保証します。さらに、我々はカメラ情報を利用した局所クエリ拡張(Camera-Aware Local Query Expansion, 以下、CLQE)を提案し、関連近傍点内で信頼できるサンプルを見出し、カメラ変動を強力な制約として利用してこれらのサンプルに高い重み付けを行うことで信頼性をさらに向上させます。我々のCA-Jocard距離は単純でありながら効果的であり、高い信頼性と低い計算コストを持つre-ID手法における一般的な距離指標として機能できます。多数の実験結果から本手法の有効性が示されています。