
要約
ドローンは、軍事用途や航空写真撮影、農薬散布など、多様な用途に活用されている。しかし、ドローンは外部からの擾乱に脆弱であり、プロペラやモーターの異常が容易に発生する。ドローン運用の安全性を向上させるためには、リアルタイムでの機械的故障の検出が不可欠である。本論文では、音声を用いた深層ニューラルネットワーク(DNN)故障分類器と、ドローン音声データセットを提案する。このデータセットは、アネオイック・チャンバー内に設置されたマイクロフォンを用いて、3台の異なるドローンの稼働音を収集することで構築された。データセットには、ドローンの飛行方向(前方、後方、右、左、時計回り、反時計回り)やプロペラ・モーターの故障状態など、多様な動作条件が含まれている。その後、これらのドローン音声を、大学キャンパス内の5か所で記録したノイズと混合し、信号対雑音比(SNR)を10 dBから15 dBの範囲で変化させた。得られたデータセットを用いて、短時間の入力波形から機械的故障の種類およびその位置を分類する1DCNN-ResNetというDNN分類器を学習させた。さらに、マルチタスク学習(MTL)を採用し、方向分類タスクを補助タスクとして組み込むことで、分類器がより汎用的な音声特徴を学習できるようにした。未観測データに対するテストの結果、提案するマルチタスクモデルはドローンの故障を正確に分類でき、訓練データが少ない状況下でも単タスクモデルを上回る性能を示した。