
要約
人物再識別(Person re-ID)は、複数の重複しないカメラ間で人物を一致させる技術である。監視分野における空中平台(UAVなど)の導入が進む一方で、現在の人物再識別ベンチマークは、地上カメラ同士のマッチングに焦点を当てており、空中カメラ同士のマッチングに関する研究は極めて限られている。本研究では、新たな設定である空中カメラと地上カメラ間での人物再識別を実現するため、新しいベンチマークデータセット「AG-ReID」を提案する。本データセットは、388人の人物を対象に、合計21,983枚の画像と、各人物について15種類のソフト属性(soft attributes)を含んでいる。データは、15~45メートルの高度を飛行する無人航空機(UAV)と、大学キャンパス内に設置された地上型CCTVカメラによって収集された。空中カメラと地上カメラの視点の著しい違いにより、人物の外見に大きな差が生じるため、本データセットは人物再識別において新たな「高視点(elevated-viewpoint)」の課題を提示している。この課題に対処するため、ソフト属性を用いてモデルの学習を説明可能(explainable)な形で誘導するアルゴリズムを提案する。実験により、本手法が空中−地上間人物再識別タスクにおいて有効であることが示された。本データセットは公開され、基線コードもGitHub(https://github.com/huynguyen792/AG-ReID)にてオープンソース化される予定であり、本分野の研究促進を目的としている。