
要約
高解像度(HR)画像の調和化は、画像合成や画像編集などの実世界応用において極めて重要な意義を持つ。しかし、既存の密なピクセル対ピクセル調和化手法は、高いメモリコストのため、主に低解像度(LR)画像の処理に限定されている。近年の一部の研究では、色から色への変換を組み合わせるアプローチが採用されているが、それらは特定の解像度に限定されたり、手動で設計された画像フィルタに大きく依存している。本研究では、implicit neural representation(INR)を活用することを検討し、従来の手動設計フィルタを一切用いない、高解像度画像に適用可能な初めての密なピクセル対ピクセル調和化手法である、Implicit neural Networksに基づく調和化手法(HINet)を提案する。リテンクス理論(Retinex theory)に着想を得て、MLPを合成画像の「内容」と「環境」をそれぞれ捉える2つの部分に分解する。また、境界不一致問題を軽減するため、低解像度画像の事前知識(LRIP)ネットワークを設計し、学習および推論プロセスについても新たな設計を提案している。広範な実験により、最先端手法と比較して本手法の有効性が実証された。さらに、提案手法の興味深い実用的応用例も検討した。本研究のコードは、https://github.com/WindVChen/INR-Harmonization にて公開されている。