
要約
本稿では、6-DoFグリップ検出におけるスケール不均衡問題に着目し、特に小スケールサンプルの取り扱いにおける困難に特化した新たなアプローチを提案する。小スケール物体の局所幾何構造を強化するため、マルチスケールシリンダーグルーピング(MsCG)モジュールを導入し、マルチスケールシリンダーフィーチャとグローバルコンテキストを統合することで、より豊かな局所幾何表現を実現する。さらに、スケールバランス学習(SBL)損失関数とオブジェクトバランスサンプリング(OBS)戦略を設計した。SBLは、事前重みを用いて低頻度スケールのサンプルの勾配を拡大し、学習段階でのスケール分布の不均一性を緩和する。一方、OBSは補助セグメンテーションネットワークを活用して小スケールオブジェクト上により多くの点を抽出することで、推論段階での偏りを軽減する。また、合成データと実景データ間のドメインギャップを効率的に埋める目的で、ノイズあり・クリーン混合(NcM)という新しいデータ拡張手法を導入し、インスタンスレベルで両者を混合した新たなデータを生成することで、訓練の効率性を向上させる。広範な実験はGraspNet-1Billionベンチマーク上で実施され、特に小スケールケースにおいて顕著な性能向上が達成された。さらに、実世界でのグリップ実験においても優れた汎化性能が確認された。本研究のコードは、https://github.com/mahaoxiang822/Scale-Balanced-Grasp にて公開されている。