
本稿では、グラフマッチング(GM)に存在する新規かつ広く見られる問題である「二段階ノイズ対応(Bi-level Noisy Correspondence: BNC)」に着目する。BNCとは、ノードレベルのノイズ対応(Node-level Noisy Correspondence: NNC)とエッジレベルのノイズ対応(Edge-level Noisy Correspondence: ENC)を指す。要するに、一方で画像間の特徴認識の難しさや視点の違いにより、一部のキーポイントがオフセットや混同を伴って不正確にアノテーションされることが避けがたく、これにより対応するノード間の不一致が生じ、すなわちNNCが発生する。他方で、ノイズを含むノード対応がエッジ対応にも影響を及ぼし、さらなるノイズを引き起こすことでENCが生じる。このBNC問題に対し、本稿では「モーメンタム蒸留を用いた対比的マッチング(Contrastive Matching with Momentum Distillation)」と呼ばれる新規な手法を提案する。本手法は、GMに特化した2次対比学習フレームワークに基づく堅牢な2次対比損失を採用しており、以下の2つの利点を持つ:i) GMに特化した2次対比学習により、ノード対ノードおよびエッジ対エッジの相関関係をより効果的に探索できる;ii) モーメンタムティーチャーによって推定された信頼度に基づき、ノイズを含む割当を適応的にペナルティ処理できる。3つの実世界データセットを用いた広範な実験により、12の競合手法と比較して本モデルの堅牢性が実証された。コードは以下のURLで公開されている:https://github.com/XLearning-SCU/2023-ICCV-COMMON。