
要約
因果感情関連(Causal Emotion Entailment)は、会話において非中立的な感情を持つターゲット発話の原因となる因果関係の発話を特定することを目指しています。これまでの研究では、会話の文脈を十分に理解し、感情の原因を正確に推論するという点で制限がありました。この課題に対処するために、我々は常識知識(Commonsense Knowledge: CSK)を三つの橋として活用した「知識橋梁型因果相互作用ネットワーク」(Knowledge-Bridged Causal Interaction Network: KBCIN)を提案します。具体的には、各会話に対して会話グラフを構築し、イベント中心のCSKを意味レベルの橋(S-bridge)として利用することで、CSK強化グラフ注意モジュールを通じて会話文脈内の深い発話間依存関係を捉えます。さらに、社会相互作用のCSKは感情レベルの橋(E-bridge)と行動レベルの橋(A-bridge)として機能し、候補となる発話をターゲット発話と結びつけることで、感情相互作用モジュールと行動相互作用モジュールがターゲット感情を推論する際の明確な因果手がかりを提供します。実験結果は、我々のモデルが多くのベースラインモデルよりも優れた性能を達成していることを示しています。また、当該ソースコードは公開されており、https://github.com/circle-hit/KBCIN からアクセス可能です。