オブジェクトワイズコントラスト学習と回帰不確実性を用いた半教師付きオブジェクト検出

半教師あり物体検出(Semi-supervised Object Detection: SSOD)は、追加のラベルなしデータを活用することで検出性能を向上させることを目的としている。教師-生徒フレームワークは、SSODにおいて有望なアプローチとして示されており、教師ネットワークがラベルなしデータに対して擬似ラベルを生成し、生徒ネットワークの学習を支援する。しかし、これらの擬似ラベルはノイズを含むため、擬似ラベルのフィルタリングがこのフレームワークの潜在能力を活かす上で極めて重要である。既存の手法は、最適でない場合が多いが、本研究では教師-生徒フレームワークにおける分類ヘッドおよび回帰ヘッドの両方に対して、2段階の擬似ラベルフィルタリング手法を提案する。分類ヘッドに関しては、OCL(Object-wise Contrastive Learning)を導入し、ラベルなしデータを活用したオブジェクト表現学習を正則化することで、分類スコアの識別能を高め、擬似ラベルのフィルタリングを改善する。この手法は、同一クラスのオブジェクト同士を引き寄せ、異なるクラスのオブジェクトを遠ざけるように設計されている。回帰ヘッドに関しては、さらにRUPL(Regression-Uncertainty-guided Pseudo-Labeling)を提案し、物体位置推定におけるaleatoric不確実性を学習することで、ラベルフィルタリングをより適切に行う。分類ヘッドと回帰ヘッドの両方の擬似ラベルを統合的にフィルタリングすることにより、生徒ネットワークは教師ネットワークからより優れた指導を受け、物体検出タスクの性能向上が可能となる。Pascal VOCおよびMS-COCOデータセットにおける実験結果から、本手法が既存手法と比較して競争力のある性能を示し、優れた効果を発揮することが確認された。